Web講座(企業向け)
「法律」・・・なんだか難しいイメージを持つ方が多いでしょう。
「労働基準法」、「労働安全衛生法」・・・堅苦しくて、わかりにくいと敬遠する方も多いと思います。
しかし、「社員を採用し」、「勤務させ」、「給与を支払う」という立場にある企業が、労働基準法などの労働関係法を理解することは、とても大切なことです。
当ページでは、企業が、「労働・社会保険諸法令を知ること」で、少しでも企業の労務管理のお手伝いが出来れば、幸いです。
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労働基準法001 名ばかりにならないために・・・〜管理監督者の法的判断要素〜
企業は、管理職(部長、課長、課長代理など)の名称を企業内で自由に決めることができます。
しかし、「社内で呼んでいる管理者」と「労働基準法上の管理監督者」は、同義に考えることはできません。
また、呼び方が管理職であっても、労働基準法上で定める管理監督者でない場合は、残業手当(残業した際に支払う割増賃金)が必要です。
■実態はどうなっていますか? こんな場合は、ご注意下さい。
★役職の肩書きがあっても、部下がいない。
★部長であっても、裁量権のある仕事を任されていない。
★出勤状況に裁量性がない。
★賃金等の待遇面が相当性がない。
■通達:管理監督者の範囲の適正化について
H20.4.1 基監発第0401001号
労働基準法(S22.法律第49号)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)は、同法が定める労働条件の最低基準である労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されるものである。
したがって、その範囲については、一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限定されなければならないものである。
具体的には、管理監督者の範囲については、資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があり、賃金等の待遇面についても留意しつつ、総合的に判断することとしているところである(S22.9.13発基第17号、S63.3.14基発第150号。以下「解釈例規」という。)。
しかしながら、近年、以上のような点を十分理解しないまま、企業内におけるいわゆる「管理職」について、十分な権限、相応の待遇等を与えていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者として取り扱っている例もみられ、中には労働時間等が適切に管理されず、割増賃金の支払や過重労働による健康障害防止等に関し労働基準法等に照らして著しく不適切な事案もみられ、社会的関心も高くなっているところである。
また、このような状況を背景として、管理監督者の取扱いに関して、労使双方からの相談が増加している。
このため、労働基準監督機関としては、労働基準法上の管理監督者の趣旨及び解釈例規の内容について正しい理解が得られるよう十分な周知に努めるとともに、管理監督者の取扱いに関する相談が寄せられた場合には、企業内におけるいわゆる「管理職」が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当するものではないことを明らかにした上で、上記の趣旨及び解釈例規の内容を十分に説明するほか、管理監督者の取扱いについて問題が認められるおそれのある事案については、適切な監督指導を実施するなど、管理監督者の範囲の適正化について遺憾なきを期されたい。
厚生労働省労働基準局監督課長から都道府県労働局長宛